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「TOEICのリーディングでいつも時間が足りない」
「洋書1冊読むのに1カ月以上かかる」
「大学入学共通テストの問題が解き終わらない…」
などなど、英語をもっと速く読めるようになりたいと思っている人は多いと思います。
そこでこの記事では、さまざまな速読法を試してきた翻訳家のmachaが、英語を速く読めるようになるおすすめの方法をお伝えします。
はじめに
最初にお断りすると、偉そうに書いていますが、僕自身は読むのが決して速くはないです。英語も日本語も行間までじっくり読みたくなるタイプなので、筋金入りのスローリーダーだと自覚しています。
でもそんな僕でも、TOEICのリーディングセクションは20分以上時間余ります。
(読み飛ばしはせず、設問も全部きちんと読んでのスピード。スコアも満点でした)
速度テスト
読書スピードを測るとき、WPM(word per minute)という指標がよく使われます。1分間に何ワード読めるかを数値化したものです。
Cengage Learningというサイトで適当なトピックを選ぶと、読書スピードを計測できます。僕の場合、いくつか読んでみて、170~230WPMくらいの結果が出ました。
ネイティブは一般に200~250WPMくらいと言われているので、やはりゆっくりめですね。
速読に関してやったこと
僕自身、速読のトレーニングを一時期かなり意識的にやったことがあります。
英文の速読トレーニング
学生時代、手あたり次第に、スキミングにスキャニング、フォトリーディング、各段落の最初と最後の行だけを読むとか、本に書かれてあるいろいろな方法を試しました。目の動かし方やページをめくる指の使い方を変えたり、文字を指で読みながらなぞったり、定規を当てて読んだり、ストップウォッチで時間をはかったり・・・と、自分なりになんでもやりました。4年くらいは格闘したと思います。
日本語の速読トレーニング
国語の受験対策に役立つかなと思い、中学から高校にかけて他人から譲ってもらった高額な通信教材を1年以上かけてがっつりやりました。モーツァルトなどクラシック音楽を聴きながら、ひたすら速読の特訓をするという内容でした。
効果のあった速読術(結果)
では、いったい何が一番効いたのか。
結論を言うと、残念ながらどれも悲しいくらい役に立たなかったです・・・。
速読テクが役立たない理由
【速読の条件】
- 文章の理解度は同じか、それ以上
- 普通に読む時よりも格段に速く読める
読み飛ばしや斜め読みであれば、わざわざ専門の速読トレーニングをしなくても、普通に読書をしていれば身に付きますよね。
「速読法」というからには、たとえば10時間で読める小説を、内容面の理解度を落とさずに、それより明らかに短い時間で読めないと意味がない、と僕は考えています。
その意味で、僕が実践した中で、理解度を同水準に保ったまま、速く読める方法は一つもありませんでした。
それができると銘打っている教材でも、僕の場合はうまくいきませんでした(ひょっとしたら中には成功する人もいるのかもしれませんが、かなりレアな気がしています)。
スキャニングやスキミングなど、世にある速読法の一般的なテクニックは、たとえば300ページくらいの分厚いレポートを30分くらいでざっと読んで、どこに何が書かれてあるかの概要を把握する、といった目的がある場合は有効です。つまり、政府白書やタウンページみたいな情報誌、製品の説明書、パンフレットみたいに全部を読む必要がない資料です。でも小説やノンフィクション、哲学書みたいに全体が一つにつながっているような、しっかりと読み込まないと理解できない文章にはほとんど使えません。TOEICのリーディング問題も(広告のチラシみたいなものを除いて)基本的に内容をきちんと理解しないと解答できないので、こういう小手先のテクニックは役立ちません。
速く読めるようになる方法
速読術の特訓で完全に挫折した僕は結局、「文章の頭から丁寧に読む」という元通りのシンプルなリーディング術に戻りました(英語も日本語も)。
それでも、今ではノンネイティブとしてそこそこのスピードで英文を読めるようになりました。ではいったい何がよかったのでしょうか?
僕の学習経験を振り返って言うと、一番速読に役立ったのは
「リスニング」でした。
え、リーディングの話をしているのに、なんでリスニングなの・・?
と思う人もかもしれません。
理由は、英語のリーディングとはリスニングとほとんど同じだからです。
リスニングとリーディングの関係
簡単に説明します。
日本語は漢字が多いので、文章中の漢字を目でパーッと拾っていくだけでも全体の意味がなんとなくわかりますよね(文書によりますが)。だからスキミングとかスキャニングがある程度役立ちます。
でも英語の場合、そうはいきません。英語は基本的に、最初から一音ずつ丁寧に「音」として頭の中で再生していくしかないのです(いわゆる「脳内音読」)。
漢字(日本語や中国語など):
表意文字(表語文字) ←目でも理解できる!
アルファベット(英語、フランス語、ドイツ語など):
表音文字 ←音声化して理解する
つまり、英語を読んでいるときは、頭の中でナレーションを再生し、リスニングしているのと同じ状態になっているのです。実際、僕も英語を読んでいるときは英語の音を「脳内音読」しています。
ちなみに、これは英語ネイティブも基本的に同じようです。仙台で英語教室を開かれているニューヨーク出身のLaura先生も、次のように述べています。
私はネイティブで、読むの結構早いと思うのですが、頭の中では音読してますよ…
考えたこともなかったですが、黙読で、頭の中で音読しない人いるんですね⁉️
驚きです…
もちろん話す速度よりずっと早いですが、冠詞とかつながりがちですが、確実に「脳内音読」せざるを得ないです。 https://t.co/Z6dq7WnNHx— Laura(ローラ)🐈初中級向け英会話✏️ (@AmericanT_Laura) March 4, 2019
150WPMの高速英語をインプットするやり方
ということは、英語を「速読」したい人は「速聴」できるようになればよいということです。
ネイティブのナチュラルスピードの英語を聞き取れる人は、それに近いスピードで英語も読めるようになります。
150WPMの見本はCNN
CNNなどのナレーションはだいたい150WPM程度です(2009~2019年の調査で平均値が154WPM)。
だから
CNNが一発で聞き取れる人は、脳内で150WPMで英語の音声処理ができている
ということです。
(こちらはCNNの看板キャスター、アンダーソン・クーパーさんのナレーションです。おそらく150WPMくらい)
リスニングは基本的にどんどん流れていくものなので、リーディングみたいに「返り読み」(読みなおし)ができないですよね。
だからCNNの英語ニュースを100%聞き取れるなら、リーディングでも「返り読み」せずに150WPMに近いスピードで読めるということです。
TOEICでも時間が余るスピード
そして、150WPMのスピードで英語が読めると、TOEICのリーディングは楽勝です。
TOEICのエキスパートである猛牛先生のツイートを拝借します。
TOEICのリーディング制限時間は75分、全単語数は約7000単語。
1分間に100単語の速度(100wpm)で読むと、7000単語の素材は70分で読み終わる(解き終わる、ではない)。
150wpmで読む→7000単語は46分で読み終わる(30分ほど余るので、解く時間もたくさんある)
個人的には150wpmなら余裕過ぎる。#TOEIC— 猛牛先生🐮TOEIC対策×YouTube (@JetBull990) March 4, 2019
実際、僕もTOEICの英文は返り読みせず、基本1回しか読みません。本文を頭から読んで、読み終わったらただ設問に答えるだけ。内容をしっかり理解しながら読むので、設問の答えを探すために元の英文を読みなおすことはほとんどありません。だから無駄が発生せずに、早く解き終わるというわけです。
どうすれば英語の「耳」を鍛えられるか
速読するには速聴が重要、という話をしました。
では、どうすれば150WPMで話される英語を一発で聞き取れるようになるでしょうか。
残念ながら、こればかりは近道はありません。リスニング力を上げたければ、たくさん英語を日々インプットするしかありません。
でも逆に言えば、リスニング力を上げれば、速読力も自然に身につくということです。
速読力のために何か特別なことをする必要はありません。毎日英語を継続的に耳からインプットすれば、自動的にTOEICのリーディング対策にもなるというわけです。
おすすめの学習法とコツ
リスニングの学習法やコツについては、これまでいろいろな記事を書いているので、ぜひ参考にしてみてください。
リスニング力を効果的に上げるためのコツを知りたい人は・・・
【初心者向け】たった3つのコツで英語リスニング力は驚くほど伸びる!
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まとめ
「速読したい人はリスニング力を上げよう」という突拍子もない結論になってしまいました。
もちろん実際のリーディングも大切ですが、速読の土台はあくまでもリスニングです。
普段から海外ドラマや英語ニュースなどをたくさんリスニングしていれば、英語を訳さずに「音」のまま脳内処理できるようになるので、あとは少しのリーディングの慣れで、そこそこ速く読めるようになります。
速読ができるようになる都合のよいテクニックなんてものはありません。また速読のためだけに、何か特別なトレーニングをする必要もありません。
耳障りのいい速読ハックには騙されないで、良質な英語を毎日たくさん耳からインプットしましょう。
そうすれば、理解可能なリスニングに近いスピードで、英語の文章もスラスラ読めるようになるはずです。
Good luck!