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「英語の洋書を読むのにKindleが便利」なんて話を聞いたことがある人も多いかと思います。
でも、まだKindleを使ったことがない人にとっては
- 紙の洋書より読みやすいの?
- Kindleって英語学習に効果があるの?
- Kindleの専用リーダーとアプリは同じ?
などいろいろな疑問がわいてきますよね。
そこで今回は、ペーパーバックをこよなく愛しつつも、2007年の初代モデルよりKindleを英語読書に活用してきた翻訳家のmachaが、あらためてKindleのメリットとデメリットを振り返ってみます。
Kindleで洋書多読を始めてみようかな、と考えている方はぜひご参考に。
Kindleとは?
Kindleとは、米Amazonが開発・提供している電子書籍リーダー・アプリです。
専用リーダー(端末)をイメージする人が多いかもしれませんが、スマホやタブレット向けの専用アプリ(無料)もあるので、インストールすれば誰でもすぐに利用することができます。
専用リーダーとアプリの違い
Kindleアプリ(iOS/Android)はスマホやタブレットで手軽に読めて便利ですが、単語帳を自動的に作成してくれる機能がない上、長時間の読書にあまり向かないので、英語の勉強(多読)に使うなら「Kindle」や「Kindle Paperwhite」など専用リーダーがお勧めです。
《Kindleアプリのメリット》
・カラー本を表示できる(雑誌、絵本など)
・音声読み上げができる(←スマホの機能を使えば)
・無料で利用できる
《Kindleアプリのデメリット》
・液晶画面なので目が疲れやすい
・常時通知が届くので読書に集中しにくい
・単語帳機能がない
専用端末はさすがに「読書のため」に作られているだけあって、活字をメインに読むなら、アプリよりも圧倒的に使い勝手がよいです。
逆に、絵本やイラストの多い雑誌などをメインに楽しみたいなら、「大きめタブレット+Kindleアプリ」の方がよいかと思います。
この記事では、専用端末の方にフォーカスして、メリットとデメリットを解説していきます。
僕のもっているモデル
現在は一番ベーシックな「Kindle」(第10世代)を使っています。前モデルにはなかったフロントライトが搭載され、お値段1万円以下となかなかお得です。
筆者はお風呂で洋書を読む習慣がないのですが、風呂タイムにも読みたい人は防水機能のある「Kindle Paperwhite」(13980円~)の方がよいと思います。
Kindle端末の特徴・メリット
よく言われているKindleの優れた点はここらへんです。
・薄くて軽い、持ち運びに便利
・数千冊の本を持ち運べる
・部屋のスペースを奪われない
・電池のもちがいい(一度の充電で数週間)
・読書に集中できる(邪魔なアプリ、プッシュ通知がなし)
・フロントライトで目にやさしい(直接目を照らさない)
・e-inkディスプレイで紙のように読みやすい
個人的には仕事柄、紙の本がたまっていく一方なので、蔵書スペースを奪われないKindleはとてもありがたいです。
Kindleにしかできないこと(12のメリット)
今でも紙の本をこよなく愛する筆者ですが、洋書の多読に関して「Kindleには勝てない…」と思う点がいくつかあります。
(※以下、ローラ・インガルス・ワイルダーの名作『Little House in the Big Woods(大きな森の小さな家)』を例に解説します)
思い立ったら即読める
地味に便利な点がこれ。洋書は普通の書店には売っていないので、都市部の数少ない大型書店や専門店にわざわざ足を運ぶか、Amazonなどオンライン書店で注文するかのどっちかですよね。場合によっては数日かかることもありますが、Kindleだと思い立ったら即購入・ダウンロードできて、数分後に読み始められます。
洋書を割安で買える
洋書は和書に比べてとにかく高いので、割安で買えるのはありがたいです。割引率は書籍によって異なりますが、2~7割引きくらいが多いでしょうか。
ちなみに『Little House in the Big Woods』は、古い作品のためかキンドル版99円という衝撃の価格で販売されていました。ペーパーバックは1316円なので、9割超も安い!
1秒で辞書を呼び出せる
洋書と電子辞書を合体させたような機能。文中に知らない単語があれば、「1秒タッチ」(長押し)ですぐに意味が調べられます。電子辞書を取り出して調べるよりも手間が少なく簡単です。
英語の多読で「知らない単語は調べるな」と言われても、どうしても気になってしまう人もいるかと思いますが、1秒タッチなら心置きなく辞書が引けますよ(笑)。
英英辞書が選べる
英和辞書だけでなく、英英辞書も入ってます! 「英語を英語のまま理解したい」という人にとって、英英辞典が使えるのはありがたいですね。
初期設定では、英語系では「プログレッシブ英和中辞典」(13万8000項目)と英英辞典「The New Oxford American Dictionary」(35万項目)という2つの本格的な辞書が内蔵されていて、どちらも無料で利用できます。
普通に読書を楽しむ分にはこの2冊で十分すぎるほどですが、ほかに使いたいこだわりの辞書がある場合は、Kindleストアで購入して端末にダウンロードすることも可能です。
Wikipediaでも調べられる
ネットにつながる環境であれば、Wikipediaを呼び出すこともできます。方法は「1秒タッチ」で出てくるポップアップ画面を横にスワイプするだけ。辞書だけでは意味がわかりにくい場合、Wikipediaでも調べられるのは結構便利です。
オリジナル単語帳を自動的に作成
これがかなり快適。1秒タッチで調べた単語は、端末内の「単語帳(Vocabulary Builder)」に自動的に登録・保存され、自分だけの《オリジナル単語帳》ができあがります。手軽に単語を復習できるので、単語学習がすごくラクになります。
とくに素晴らしいのが、英語辞書の模範例文ではなく、Kindle本の中で実際に使われているフレーズが用例として表示される点。一度読んだ馴染みのある例文なので、単語を記憶しやすいですね。
※単語帳機能はKindle専用端末のみ
フラッシュカード機能で語彙力アップ
Kindleには「フラッシュカード」機能もあり、上記の単語帳に登録された単語を高速暗記することができます。ちょっとした隙間時間を使って、ゲーム感覚でボキャビルできますね。
ハイライト&メモを簡単に残せる
個人的には紙の本に書き込みをしたり、マーカーをひいたりするのが嫌なので、気になるところにはとりあえず付箋を貼るタイプなのですが、Kindle端末上ではさきほどの「1秒タッチ」で、すぐにマーカー(ハイライト)がひけます。
さらにハイライト部分にはメモを残しておくこともできるので、書評を書く際などに便利です。(ハイライト箇所のみを一覧表示して瞬間移動することもできます)
※雑誌や漫画などハイライト機能に対応していない書籍も一部あります。
気になるページにはすぐにブックマーク
ページの端を折るなんて言語道断、という筆者のような心の狭い人間にとっては、いくらでもブックマーク(しおり)できるのもありがたい機能です。
もちろんブックマークをしたページへは、ほかのページからいつでも瞬間移動できます。
読書時間を推測してくれる
Kindleでは「本を読み終わるまで」「章を読み終わるまで」のおよその時間を予測してくれます。いつごろ読み終わるのかがわかると、次の読書計画が立てやすいですし、「予測時間よりも早く読んでやろう」という速読のモチベーションにもつながりますね。笑
ウェブ記事やPDFも読める
Kindleでは電子書籍だけでなく、ウェブサイトの記事(HTMLファイル)やPDF、Word文書などもKindleに転送して読むことができます。
やり方も簡単で、メールにファイルを添付してKindle用のアドレスに送るだけです(こちらのサイトが詳しいです)
長文のPDFやウェブ記事などはパソコンで読むとなかなか疲れるのですが、Kindleだとソファでリラックスしながら読めますし、辞書機能も使えるのですごく便利です。
クラシック小説を無料で読める
紙の本を無料で読めることは少ないですが、Kindleには無料で読める作品が結構あります(著作権の切れた古典小説・童話など)。
興味のある方はこちらの記事をどうぞ。
【Kindle対応】無料で読める英語洋書の名作15選(レベル別)
Kindleの不便な点(7つのデメリット)
あまり知られていないKindleのデメリット。筆者が不便に感じた点を挙げると…
カラー本が楽しめない
Kindleの端末(リーダー)はモノクロなので、ビジュアル豊富な雑誌やカラーの漫画、絵本などには向いていません。表示することはできますが、すべて白黒になってしまいます。
ちなみにAmazonの「Kindle」ではなく、「Fireタブレット」(旧Kindle Fire)を使えば、普通にカラーで表示することができますが、Fireはそもそも電子書籍リーダーではなく普通のタブレットなので(ネットも動画もゲームもできる)、逆にあまり読書向きではありません。
読み上げ(朗読)機能がない
Kindleに読み上げ機能があるかのように紹介しているブログ記事を結構見かけますが、それはKindleの機能ではなく、単にスマホやタブレットの機能です。Kindleの端末やアプリ自体には残念ながら、読み上げ機能はありません。
どうしても洋書の読み上げをしたい場合は、スマホやタブレットの読み上げ機能とKindleアプリを組み合わせて使うか、スマートスピーカーの「Alexa(アレクサ)」を使うなどの方法があります。興味のある方はネット上に情報がいろいろあるので調べてみてください。
買えない本がたまにある
出版社や著者の意向でKindle版が発行されていない書籍がたまにあります。また古い作品で、デジタル化してもあまり売り上げが見込めない本(古いが古典というほどではない)などは電子化されないパターンが多いです。
ページ位置を見失いやすい
※KindleあるいはKindle Paperwhiteの場合
Kindleでは次のページへ行くときは画面をタップし、戻りたいときはスワイプする仕様なのですが、たまにスワイプしたつもりなのにタップと認識されて次のページに進んでいることがあります…! 画面に触れるだけで次のページに進んでしまうので、何かの拍子にページが移動してしまい、自分が元にいたページを見失いやすいのがたまにストレスです。(涙)
「Word Wise」があまりWiseでない
Kindleには、難しそうな単語の上に英語で意味を表示してくれる「Word Wise」という読書サポート機能があります(どの程度表示させるかはユーザーが選ぶことができます)。
一見便利そうに見えますが、「なぜこの単語に説明が…?」と疑問に思うケースがしばしばあります。
たとえば、以下の文章を見ると、squirrel(リス)、curl(丸まる)、shy(恥ずかしがりの)のような基本単語(黄色)には説明があるのに、game(猟の獲物)、den(巣)、hollow(空洞)のような一般にそれより難しい単語(水色)ではなぜかWord Wiseが作動していません…。
Amazon外で買った本は単語帳機能が使えない
Kindleで正規に購入した本以外のファイル(他サイトよりダウンロードした書籍ファイルなど)は、個人ドキュメントとみなされてしまい、単語帳機能が作動しません(辞書機能は使えます)。せっかく英語の文章を読んでも、単語帳にストックされないのは残念ですね…。
購入した本は「所有」できない
法律がらみの話になりますが、Kindleにかぎらず、一般に電子書籍(eBook)はユーザーが「所有」することはできません。電子書籍で購入できるのは、あくまでライセンス(利用料)だけです。
そのため、もし将来Amazonが倒産したり、電子書籍サービスを終了するようなことがあれば、ユーザーが購入した電子書籍はすべて失われます。また過去には、Amazonの規約に違反したユーザーが、購入した電子書籍データをすべて抹消された恐ろしいケースもあります(他サイトの関連記事参考)。
今すぐ心配する必要はないと思いますが、紙の本のように「自分のもの」になるわけではないということは頭の片隅に入れておいた方がいいですね。
「Kindle Unlimited」に入るべきか?
ネット上には定額読み放題のサブスクリプションサービス「Kindle Unlimited」(月額980円)への入会を勧めるサイトがやたら多いですが、これには注意が必要です。
Kindle Unlimitedは使いようによっては大変便利ですが、使いこなすにはある程度、洋書を読み慣れている人でないと難しいです。「200万冊以上が読み放題」といっても、その大部分はいわゆる自費出版作品で、英語学習向きの魅力的な作品はまだまだ限られています(「Harry Potter」や「The Hunger Games」などは「客寄せ」タイトルと考えた方が良いでしょう)。またUnlimitedの対象作品は頻繁に入れ替わるので、読みたいときに読めるとも限りません。
Kindle Unlimitedに入らなくてもKindle価格で個別に書籍を購入することはできるので、本当に入会した方がお得かどうかはよく考えた方がいいでしょう。
「Audible」はガチでおススメできます
一方、Amazonの定額朗読サービス「Audible(オーディブル)」は検討の余地が十分あります。
先に見たように、Kindle端末には残念ながら本文の読み上げ機能がありません。そこでAudibleを活用すると、洋書を耳で聴きながら目で追ったり、一度読んだ洋書を耳から聴くことができます。
スマホやタブレットの「読み上げ」機能だと機械音声なので単調で不自然ですが、Audibleは本物のプロによる朗読なので、クオリティもぜんぜん違います。
洋書の多読を本気で続けていきたい人は、ぜひオーディオブックも検討されてみてはいかがでしょうか?
おすすめのKindle端末はどれ?
いざKindleを買おうと思っても、いろんなモデルがあって悩んでしまうかもしれません。そんなときは、ざっくり次のような考え方で選べばよいかと思います。
まずは気軽に電子書籍リーダーを始めたいならKindle
Kindle(8980円~)は、現モデル(第10世代)からフロントライトが搭載されるようになり、俄然おすすめ度がアップしました。活字メインで読むなら、こちらで十分です(数千冊読めます)。
お風呂でも読書したいならPaperwhite
バスタイムにも洋書を読みたい人は、防水機能(IPX8等級)のあるPaperwhite(13980円~)がお勧めです。
2021年10月発売の新モデルは、ディスプレイサイズが大きくなり(6.8インチ)、レスポンスも20%早くなるなど、大幅にパワーアップしました!
※マンガも読みたい人は、8GB版では少々心もとないので、32GB版(新モデルでは「Paperwhite シグニチャー エディション」)を選びましょう。
より高級感と快適性を求めるならOasis
Oasis(29980円)は、色調調節ライトやページ先送りボタンなどを搭載したハイエンドモデルです。画面は7インチとKindle全モデルの中で最大です。
おすすめのKindle洋書の探し方・選び方
紙の本でもKindleでも、よい作品は基本的に同じです。面白くて、自分の英語レベルに合った作品を選びましょう。
以前、当サイト(natively)では英語多読におすすめの洋書をレベル別に徹底的に調べて、記事にまとめました。
入門レベル:
【年齢別】英語の絵本おすすめ人気ランキング30選。ネイティブはコレ読んでる!
ぜひ気になった本を探して読んでみてください。(※一部Kindleに対応していない書籍があります)
さいごに
- Kindleがあれば英語学習(リーディング)がはかどる
- 多読にはアプリより専用リーダー(端末)がおすすめ
- Kindleはデメリットも多いのでしっかり納得した上で使う
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
個人的な意見ですが、現代の英語学習「三種の神器」は
- Netflix
- Podcast
- Kindle (+Audible)
の3つではないかと思います。
とくに洋書多読するなら、Kindle端末は必須です。
読書がすいすいはかどり、洋書を読んでいるだけで英語力がぐんぐん上がり、部屋もすっきりします(笑)。
思い起こせば、一昔前「紙の洋書」+「紙の辞書」で英語多読するのは、なかなか大変でした。
読んでも読んでも知らない単語が出てきて、調べても調べてもきりがない。しかも洋書自体も輸入品とあってかなり高額でした(元値の3倍くらい?)。洋書を買うときも、大型書店や専門店に気合を入れて探しに行ったものです。
それが今ではKindleの登場によって、自宅にいながらワンクリックで購入できて(しかも割安で)、辞書いらずでどんどん読み進められますし、調べた単語も自動的に単語帳にストックされていくわけです。
Kindleさえあれば、誰でも手軽に英語のリーディング力をつけられる時代になりました。
個人的には、もう英文科生は全員、Kindle必須にしてよいのではないかと思っています。笑
それくらい、Kindleは英語学習に欠かせない存在になったといえるのではないでしょうか。
ぜひKindleで新しい洋書の楽しみ方を見つけてくださいね。
Enjoy!