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前回のブログで、洋書の英語レベルを調べるときに「Lexile指数」をうのみにするのは危険という話をしました。
「じゃあ、そうすればいいの?」ってことで、今回は、自分の英語力に合った「洋書の選び方」を4つのステップに分けて紹介します。
洋書選びの失敗の9割は、自分の英語レベルに合ってない本を選んでしまうことが原因です。
最初にきちんとレベルに合った洋書を選んだ人は、その後も多読を継続して、どんどん英語力が伸びていきます。
ぜひこの記事で紹介した方法を使って、自分の英語力で無理なく楽しめる洋書を探してくださいね。
【方法1】カテゴリから判断する
実はだいたいのレベル感なら簡単に推測できます。
ざっくりですが、まずはこのイメージを頭に入れてください。
日本の小説で考えるとわかりやすいのですが、『かいけつゾロリ』や『ズッコケ三人組』などの児童書を読めない人が、東野圭吾や池井戸潤など大人向けのエンターテイメント(大衆)小説なんて読めるわけがないですよね?
ところが洋書となると、99%の人は絵本や児童書をすっ飛ばして、いきなりハリポタ(ヤングアダルト)やシドニー・シェルダン(大衆小説)、ヘミングウェイ(古典)などに手を出そうとします。
無理に背伸びする必要はありません。
正攻法は、このピラミッドの一番下の「絵本」から始めて、徐々に上の階層へとステップアップしていくことです。
TOEIC900点超や英検1級クラスの人でも、まずは入門~初級レベルから始めることをお勧めします。
【方法2】試し読みする
書店の洋書コーナーなどで、もし読みたい本を実際に手にとることができるなら、この方法がお勧めです。
ためしに最初の数ページを立ち読みしてください。
内容を完璧に理解するつもりで、ゆっくり読みながら、知らない単語や意味のとれない文章がいくつ出てくるか、数えてみましょう。
知っているつもりの単語でも、意味がとれないなら、それは「知らない単語」です。
目安として、平均して見開き(2ページ)に知らない単語が1個以下なら心配いりません。
それくらいだと、辞書をほとんど引かなくても1冊読破できます。
逆に、知らない単語がいくつも出てくるようなら、その本は難しすぎます。
もっと簡単な本を選びましょう。
仮に200ページの本で、知らない単語が2ページに1つあるとすると、計100個も知らない単語が出てくるということなので、十分多いです。
【方法3】YL(読みやすさレベル)を調べる
YL(読みやすさレベル)とは、日本の多読コミュニティのSSS(英語多読研究会)が開発した、洋書の難易度を表した指標です。
多読愛好者たちが、自分で実際に読んだ洋書にYLをつけているので、信頼度が高いです(あくまで主観なので、人によって数字に多少のばらつきはあります)。
YLは基本的に0.0~9.9の間で記され、値が大きいほど難しくなります。
調べ方は簡単。
1.グーグルで検索
「書名 yl」と検索すれば、有名な本ならたいていヒットします。
たとえばイーニッド・ブライトンのロングセラー児童書『The Famous Five』なら、「the famous five yl」と検索すればOKです。
※サイトによって数字にズレはあります。
2.多読王国のサイトで検索
日本の英語多読コミュニティで有名なサイト「多読王国」でYLを調べられます。
画面右上の検索バーに書名を入れて検索すれば、YLや語数、読者数、レビューコメントなどさまざまな情報が見られます。
多読の初心者は、なるべくYLのレベルの低いものから読んでいくことをおすすめします。
3.SSSのサイトで検索
英語多読研究会SSSの「書評システム」からも検索できます。
「簡易検索」ボックスに作家名や書名などを入力して検索すればOK。
SSSは日本のタドキスト(多読愛好家)たちの貴重な書評が長年蓄積されていて、とくに絵本や児童書の情報が充実しています。
【方法4】Renaissance AR Bookfinderで調べる
YLで検索してもヒットしない場合は、こちらの方法がおすすめです。
ネイティブ向けのサイトなので情報が豊富で、Lexile指数よりも正確な場合が多いです。笑
「Quick Search」ボックスに作品名や作家名を入れて検索すれば、関連情報が出てきます。
見方が少しややこしいですが、押さえておきたいのは、
・IL(Interest Level)
・BL(ATOS Book Level)
の2つだけです。
(他の数字はスルーしてかまいません)
以下、説明します。
IL(興味レベル)
内容的に興味が持てる「年齢層」を表し、以下の4つで表示。
MG = Middle Grades (4~8年生)
MG+ = Upper Middle Grades (6年生以上)
UG = Upper Grades (9~12年生)
こちらはあくまでざっくりした目安ですね。
BL(ブックレベル)
「文章の難易度」を表しています。
整数の部分が、読者対象の「学年」で、小数点以下の部分が「その学年になって経過した月数」を表しています。
たとえば、BL4.5なら「小学4年生になってから5か月たったレベル」だそうです。
こちらはすごく細かいですね。(笑
【実践】あの洋書の英語レベルはどれくらい?
では、上記で紹介した4つのコツを使って、2012年に全米ベストセラーになったジョン・グリーンの青春小説『The Fault in Our Stars(さよならを待つふたりのために)』の英語難易度を調べてみましょう。
方法1 カテゴリ
本のカテゴリは、ググれば簡単に調べられます。
たとえばAmazonのサイトでも、タイトルのすぐ下に「Teen & Young Adult Love & Romance」と表示されています。
そのまま下にスクロールしていくと、「登録情報」のところにもカテゴリが表示されていたりします。
カテゴリはいわゆる「ヤングアダルト(YA)」だとわかりました。
児童書よりは難しいけど、大人が読むビジネス書やエンタメ小説に比べると簡単にちがいない、と推測できます。
方法2 試し読み
洋書屋さんが近くにあれば、ぜひ手に取って数ページ「立ち読み」してみてください。
ここではそうでないと仮定して、次へ進みます。
方法3 YL
グーグルで「The Fault in Our Stars yl」と検索すると、「多読王国」のサイトがトップに出てきました。
33件のレビューがあり、評価は4.2とまずまずです。
そして平均YLは6.0と、難易度もやはり中級レベルくらいであることがわかりました。
方法4 Renaissance AR Bookfinder
だいたいの英語レベルはもうわかりましたが、念のため、AR Bookfinderでも調べておきましょう。
書名を入力して検索すると、
BL(ブックレベル)→5.5
と出てきました。
ヤングアダルト小説とあって、内容的に共感できて面白く読めるのは中高生(9~12年生)だけど、英語レベルだけを見るとネイティブの小学5年生くらいから読める、ということです。
内容と英語レベルに差があるのも面白いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
多読の初期段階で一番大切なのは、洋書選びです。
「ちょっと自分には簡単すぎるかも」と思える本を選ぶのがポイントです。
macha(筆者)の場合、大学で英文科に入学し、 高校までほとんど洋書を読んだことがなかったのに、いきなり授業でヘミングウェイやヴァージニア・ウルフなどの古典(←超上級)を原書で読まされ、見事に玉砕しました。
知らない単語が1ページに10個くらいあるような状態だったので、辞書を使っても、ほとんど理解できてなかったと思います。
今から考えると、おそろしく無駄な勉強でした。
サッカーでいえば、高校の部活程度の経験しかないアマチュアが、いきなりイギリスのプレミアリーグの試合に出るようなものです。
その後、独学を進める中で偶然、英語の絵本に出合い、児童書に出合い、「多読」の世界を知り、リーディングに対する考え方が変わっていきました。
あえてレベルを下げて、絵本や児童書を読んでみると、知らない単語がいくつも出てくるのに気づくと思います。
そこから、少しずつレベルアップしていけば、読解力や単語力を確実につけながら、徐々に難しい洋書にもチャレンジできるようになります。
この記事で紹介した方法を使って、ぜひ一人でも洋書のファンが増えてくれたらうれしいです。
Happy reading!