【洋書入門】ロアルド・ダールって面白いの? 英語は簡単? どの作品から読めばいいの?

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macha

翻訳家(英日)。英検1級/TOEIC満点/言語学修士。「極力勉強せず、楽しみながら英語力を自然に上げる」がモットー。英語育児(8歳)も実践中です。

ロアルド・ダール(Roald Dahl、1916~1990年)といえば、洋書(英語)好きの間では、大人・子供を問わず、昔から大人気の作家です。

でも、これから読んでみようかなと思っている人にとっては、

  • ロアルド・ダールって面白いの?
  • どの作品から読めばいいの?
  • 英語は難しいの?

など、いろんな疑問があると思います。

そこでこの記事では、ダールの作品を10冊以上読んできたmacha(著者)が、メリットやデメリットを比較した上で、 おすすめの本などを紹介します。

僕が読んだ作品(順不同)

  • The Magic Finger
  • Fantastic Mr. Fox
  • James and the Giant Peach
  • Charlie and the Chocolate Factory
  • Charlie and the Great Glass Elevator
  • Danny the Champion of the World
  • The Twits
  • George’s Marvelous Medicine
  • The BFG
  • The Witches
  • The Giraffe and the Pelly and Me
  • Matilda
  • Esio Trot

ダールを読む前に知っておきたいポイント5つ

まず、基礎知識から。

1.「ロアルド・ダール」と発音してもネイティブに通じない

Roald Dahlの若い頃?

だれが 「ロアルド・ダール」なんて翻訳したのか……。
Roald Dahlの発音を、カタカナ表記するなら、「ロウルド・ダール」です。
子音の「d」の音がつながるので、「ロウ・ダー」といった感じに聞こえると思います。
「ロアルド」ではありません!

2.イギリス人はみんな子どもの頃読んでいる

ダールはもともとイギリスのウェールズ出身です(ちなみに元・空軍のパイロット)。
macha(筆者)は、ダールを読んだことのないイギリス人には会ったことがありません。
イギリス人と読書の話題になったとき、ダールの話をすればだいたい盛り上がるのでおすすめです。

3.有名な作品はだいたい映画になっている

『チャーリーとチョコレート工場』(2005年、ティム・バートン監督)や『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016年、スティーブン・スピルバーグ監督)など、多くの作品が映画化、ドラマ化されてます。

ジョニー・デップがウィリー・ウォンカの役にハマってます

4.実は大人向けの本も書いている

児童作家としてのイメージが強いですが、自伝的作品やミステリー風の短編小説でも高い評価を得ています。

5.Netflixでアニメ版がもうすぐ見られる!

2018年に、Netflixがオリジナルアニメ作品の製作を発表しています。早ければ2019年中に見られるかも?

【メリット】ダールのお勧めポイント6つ

では、ダールの作品が洋書の初心者におススメな理由を説明します。

1.英語がわりと簡単

英語の難易度は、児童書としては普通のレベルです。
SSSの定めるYL(読みやすさレベル)でいうと4~6くらいなので、ときどき難しい単語も出てきますが、初心者でもきちんと多読のステップを踏んでいけば、読めないレベルではありません。

2.大人が読んでも楽しめる

さすが英国ナンバーワンの童話作家。
児童小説とはいえ、大人もぐいぐい引き込まれます。
ストーリーは奇想天外なものが多いですが、だいたい、かわいそうであまり恵まれていない境遇の子供が主人公で、そういうヒューマンドラマな側面も魅力です。

3.長短いろんな作品がある

ダールは絵本っぽい短いめの本から、長編小説までいろんな作品を書いています。
短めの絵本から読み始めて、本格的な児童書へと、無理なくステップアップできます。

3000語くらいしかないのですぐ読める絵本のような作品も

4.挿絵が最高

クェンティン・ブレイク(Quentin Blake)のイラストが作品の雰囲気にマッチしています。
ダールといったら「このイラストでしょ!」というくらい、作品に欠かせない存在です。
また挿絵の点数も多いので、英語がわからなくも、絵を見て理解できたりすることも多々あると思います。

5.スラングが少ない

基本的に「イギリス英語」ですが、イギリス人しか知らないようなスラングや口語表現は全体的に少なめです。
アメリカ含め、世界的に人気の作家なのも、うなずけますね。

6.オーディオブックのクオリティが高い

人気作家なのでほぼすべての作品でオーディオブックが発売されています。
しかも朗読人がかなり豪華です!!

  • Matilda → Kate Winslet
  • The BFG → David Walliams
  • The Enormous Crocodile → Stephen Fry
  • Fantastic Mr. Fox → Chris O’Dowd

これ、すごくないですか?
本を読んだ人は、ぜひ朗読も合わせて聴くことをお勧めします。

【デメリット】ダール作品がイマイチかもしれない点4つ

読者によってはここらへんがイマイチだと感じるかもしれません。

1.作中に詩が多い

本人が詩人でもあるためか、ほとんどの作品に詩が出てきます。
ミュージカルのように登場人物が心境を歌っていたりするのですが、そこだけかなり読みづらいし、英語的にも理解するのが難しいです。
詩が理解できなくても、ストーリーの流れは追っていけるので、わからない人は読み飛ばしてOKです。

2.作者の造語が多い

ダールはいろんな新しい言葉を創作しました。
一説によると、250以上の造語を生み出したそうです。
それがダール作品の魅力でもあるのですが、英語学習者にとっては、ただ単に「自分が知らない単語」なのか、「ダールの造語」なのかが、すぐには区別がつかないので、勉強の足かせになりやすいです。
とくに『The BFG』は造語のオンパレードです。

3.ストーリー展開がやや強引…

子供は気にしないと思いますが、大人が読むと、ところどころアラが目につきます。
ストーリーが唐突に終わったり、伏線が解決されないままだったりするので、「あれ結局どうなったの?」みたいなことがよくあります。

4.ブラックユーモアが満載

基本的に勧善懲悪のストーリーです。
ドライなタッチで描かれていますが、普通に登場人物が簡単に死んでいったりして、児童文学とは思えないくらい、かなりブラックな作風です。
「悪人は逝ってよし」みたいな割り切り方をしているのに違和感を覚える読者もいるかも?

ダール作品の読み進め方(多読)

ダールの児童書には、ひとつ重要な法則があります。

それは、「長い作品ほど面白い」ということです。

ほかの作家も多少そういう傾向があるかもしれませんが、ダールの場合はとくに顕著です。
(逆にいえば、短い作品は結構ハズレが多いです。←あくまで個人的感想です)

なので、machaのおすすめは長編小説なのですが、あまりこれまで洋書を読んでこなかった人がいきなりダールの長い作品を読むと挫折する可能性が高いです。

洋書に慣れていない人は、なるべく短い作品から読んでいきましょう。
読み進めるうちに、ダール特有の世界観や言葉遣いなどにも少しずつ慣れていくはずです。

逆に、普段からバリバリ洋書を読みなれている人は、次のおすすめ作品ランキングを参考に、好きな作品から読んでみてください。

おすすめのダール作品トップ5

5位から順番に、おすすめの作品を紹介(ネタバレなし)。

※ 英語の難易度は、SSS(英語多読研究会)のYL(読みやすさレベル)を参考にしています。

【5位】Charlie and the Chocolate Factory(チョコレート工場の秘密)

英語の難易度:YL 4.5
総語数:29743語

映画『チャーリーとチョコレート工場』も大ヒットした有名な作品。貧困や家族、希望といった社会的要素が詰まった作品。ただし作中で小人たちがうたう詩はかなり読みづらいかも…。

【4位】Charlie and the Great Glass Elevator(ガラスの大エレベーター)

英語の難易度:YL 5.4
総語数:29743語

上記『チョコレート工場』の続編なので、続けて読むのがおすすめ。これも途中から意外な展開が楽しめます。言葉遊びがある分、英語のレベルはやや高くなります。

【3位】The Witches(魔女がいっぱい)

英語の難易度:YL 6.5
総語数:36547語

わりと長めのこわい話。ストーリー的におかしなところがいくつか目につきますが、そこに目をつぶれば、大人でもハラハラする展開で、ダールのストーリーテリングのうまさを感じさせます。

【2位】Danny the Champion of the World(ダニーは世界チャンピオン)

英語の難易度:YL 5.5
総語数:39514語

ダーク・ファンタジーといった感じの作品。ダールっぽい摩訶不思議なところはありますが、『チョコレート工場』ほどはぶっ飛んではいません。父と息子の「家族愛」がしんみりきます。

【1位】Matilda(マチルダは小さな大天才)

英語の難易度:YL 6.5
総語数:39785語

天才少女のいたずらはダールっぽくて面白いし、他の作品と違って詩が少ないので読みやすいです。天才少女が大活躍する話かと思いきや、後半で急にSFの要素が入ってきて面白くなります。またオーディオブックではケイト・ウィンスレットが情感豊かに複数人の声を見事に使い分けていて、もはや感動するレベルです。

どれを買えばいいの?【おすすめのボックスセット】

ダールの世界観をまとめて堪能したいという人は、下記の15冊入りのボックスセットがおすすめです。
1冊ずつそろえるよりお値段もお得です。

 

ボックスセットだと全部読むのが大変そうですが、ハマると意外にあっという間に読めるので、最初からこれを買っておけばよかったと個人的には後悔しています(笑)。

ダールを読み終わった人は

ダールの好きな人にお勧めの作家が、デイビッド・ウォリアムズ(David Walliams)です。

ロアルド・ダールの再来」とも言われているイギリスの人気児童文学作家で、日本ではあまり知られていませんが、英語圏ではおそらく今一、二を争う人気作家ではないかと思います。


挿絵はダールと同じく、クエンティン・ブレイクが描いているので、作品の雰囲気は近いですが、ダールよりも緻密に作られた丁寧なストーリーが特徴で、読みやすくておすすめです!

【結論】ダールは一度は読んでおきたい

すでに書いたとおり、ロアルド・ダールは英語多読の定番とはいえ、作品にはかなりクセがあります。

正直いうと、単に「英語学習」という目的だけなら、ほかにもっと向いている洋書はたくさんあると思います。

でもダールの作品には、そうしたデメリットを吹き飛ばすくらいの面白さや夢中になれる要素がたくさんあります。

語学は「ハマる」と、上達のスピードがいっきに上がります。

知らず知らずのうちに何冊も読み終えていて、リーディング力や単語力がアップしているはずです。

その意味で、ダールは英語を学ぶなら、一度は読んでみたい作家です。

ぜひその独特の世界観や言葉遊びを堪能してみてくださいね。

Happy reading!

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