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「英語のリスニングが苦手…」
「英語の音を聞いても頭に入ってこない」
「そもそもどんな勉強をしたらいいのかわからない」
そんな悩みを抱えている学習者はたくさんいると思います。
僕自身もかつてそうでした。
リスニング(ヒアリング)はいったい何をやれば上達するのか、結構謎だらけですよね。
この記事では、長年英語と格闘してきたmacha(筆者)が、自分自身の学習体験や英会話講師としての指導体験などをもとに、効果的なリスニング力向上の方法や教材、ウェブサイトをレベル順に紹介します。
TOEICやセンター試験など目先のテスト対策というより、ネイティブの「生の英語」がわかる、本物のリスニング力を身につけるための方法について書いています。
ぜひ英語力を爆発的に上げるヒントにしていただければと思います!
【大前提】なぜ英語が聞き取れないのか?
具体的な方法を紹介する前に、大切なポイントとして、英語が聞き取れない理由について見ておきたいと思います。
英語の聞き取り(ヒアリング)ができない理由は、実は山ほどあります。
具体的には以下のようなものです。
・単語、熟語、慣用句、スラングを知らない
・苦手な母音・子音がある
・音のつながり(リエゾン)をわかってない
・そもそも間違った発音で覚えた
・英語脳になっていない(返り読みしている)
・英語圏の文化、風習を知らない
・英語圏の方言に慣れていない
このどれか一つができていないだけで、聞き取りは困難になります。
逆に言えば、英語を完璧に聞き取るためには、これが全部それなりにできなくてはいけません。
それだけネイティブの英語(英会話)を聞きとるのは難しいのです。
リスニング力をすぐにアップさせる簡単な方法なんてありません。
大切なのは「あせらない」ことです。
英語の勉強を続けていたら、いずれ必ずできるようになります。
長期戦の覚悟が必要です。
それを理解した上で、どんな勉強をしたらいいか、という話をします。
リスニングを本気で上達させる12のステップ(方法)
ではどんな勉強をすれば、英語が聞き取れるようになるのでしょうか。
machaが中学生で英語を勉強し始めてから現在にいたるまで、実際にやってみて効果を実感している方法を紹介します。
僕自身、ここで取り上げた方法はどれも1年以上やりました(←のみこみが悪い)。
人によって合う・合わないは当然あると思うので、少しやってみて「違うな」と感じたらどんどん飛ばしてもらってOKです。「これいいかも!」と思った方法があれば、ぜひ取り入れてみてください。
【ステップ1】NHKゴガク(ラジオ講座)を毎日聴く
NHKのラジオ語学番組はどれも非常にクオリティが高く、番組の種類も充実しています(※テレビ番組の方はお勧めしません)。
語彙やセンテンスが厳選され、ネイティブの先生が学習者向けにゆっくり、はっきりと発音してくれています。
まずは本文の音声を繰り返し聴いて、自分でも音読してみましょう。
欠点は、(丁寧すぎて)日本語の説明が多いことです(文字も音声も)。
日本語の解説は一度聞いて理解すれば十分です。
また1冊のテキストを完璧にこなす必要はありません。
「質」より「量」をこなしましょう。時間のある人は、自分のレベルにあった番組を毎日2~3つくらい聴いてください。
NHKゴガクの公式サイトでは番組をストリーミングすることができるので、自分のペースで学習を進めることができます。
【ステップ2】部屋で「聞き流し」環境を作る
「聞き流し」には賛否両論ありますが、初心者が英語の音に慣れるには有効です。日本語のテレビをつけっぱなしにするくらいなら、英語を流した方がはるかによいです。
教材付属のCD、英語ニュース、インターネットラジオなどいろいろありますが、できれば動画がおすすめです。
動画なら、とくに集中して見なくても、ふとしたときに眺めれば情報が入ってきます。逆にラジオなど音声だけの素材だとレベルが高くなります。
【ステップ3】洋楽でカラオケする
歌を通して、英語の正しい「発音」を身につけることができます。音楽は発音習得に非常に効果があります。
発音できるようになると、聞き取りも楽になります。
もちろん、ただ聞いているだけならあまり効果がありません。
カラオケのように、英語の歌詞を見ながら自分で声に出して歌ってみてください。
同時通訳者などがよくやっている「オーバーラッピング」とまったく同じ練習が、より効果的にできます。
楽しみながら英語の発音がうまくなるので、初心者のうちから積極的にやるのがおすすめです。
好きな洋楽を片っ端からどんどん歌いましょう。
※歌詞の英語は一般に難しいものが多いので、すべて理解しようとする必要はありません。
【ステップ4】絵本の「朗読」を聴く
リスニング力を本格的に強化するには、たくさん英語を聞くこと、つまり「多聴」が欠かせません。
「多聴」入門としては、子ども向けの絵本から始めるのがよいです。
絵本なら英語が簡単ですし、知らない単語や表現があっても、絵を見るだけでだいたい内容が想像できます。
世代を超えて愛される名作は、大人が読んでも響くものがあります。
おススメの絵本の読み聞かせサイトについてこちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
【ステップ5】幼児向けアニメを見る
絵本の英語に慣れたら、幼児向けのアニメへとステップアップしましょう。
英語が難しすぎず、背景知識もあまり必要なく、純粋にストーリーを楽しむことができます。
「幼児向け」といっても、ネイティブの子供向けなので、かなり多様な語彙が使われますし、大人も使うような日常会話表現もたくさん学べます。
このステップを楽しめるようになれば、かなり実践的なリスニング力が身につきます。
※この記事の「初級」レベルのアニメから見るのがお勧めです。
【ステップ6】ディズニー映画を見る
ディズニーのアニメ映画は英語学習にとても向いています。大人向けの映画のようにストーリーが複雑だったり、難しい単語やスラングが使われたり、せりふが早口で聞き取りにくかったり、ということがありません。
「The Little Mermaid」「Aladdin」「The Lion King」など、子供も大人も十分に楽しめるのが、ディズニー映画の良いところです。
英語字幕の助けを借りて、ぜひ何度も繰り返し見てください。
辞書でいちいちわからない単語をすべて調べる必要はありません。わかりにくいところや細かいところはあまり気にせず、いろんな作品を観るようにするとよいでしょう。
【ステップ7】児童書のオーディオブックを聞く
オーディオブックは、「多読」と「多聴」を組み合わせた勉強法になります。
必ず、原書(児童書)を先に読んで、ストーリーの流れを一通り頭に入れてから、朗読を聞くようにしましょう。
オーディオブックは一般に長時間なので(児童書でも5時間以上はザラ)、チャプターごとに区切って聞くなど、集中して聞き続けられる工夫をするとよいと思います。
「多読」を通して単語力もかなりつくので、リスニング力の底上げ・強化につながります。
【ステップ8】TED Talksを見る
言わずと知れた、人気サイト。「できる大人」の洗練された英語が学べます。日本語訳(字幕)も充実しています。
ビジネス、アート、政治などいろんな分野の一流のスピーチが毎日無料で見られるのはすごいです。
好きなトークを見つけたら、何度か繰り返し聞いてみましょう。
TEDに出演することは大変名誉なことので、各スピーカーとも何度も演説原稿を書き直し、入念に準備します。だからそのまま暗唱したいくらい、非常にクオリティの高い英語になっています。
TOEICやTOEFL向けのボキャビルにも効果的です。
【ステップ9】ニュース番組(テレビ)を見る
言うまでもなく、上級者向けです。英語力だけでなく、社会や文化の知識もないと理解できません。
最初のうちは、日本語の新聞やニュースサイトなどに目を通して、話題になっているニュースの概要を先に理解してから、英語のニュース番組を見るようにしましょう。そうすることで、英語の聞き取りがかなり楽になります。
【ステップ10】SOUTH PARKでスラングを学ぶ
ネイティブの日常会話はスラングだらけです。
スラングがわからないと、大部分の映画や海外ドラマは理解できません。
残念なことに、学校や受験勉強はおろか、TOEICやTOFELなどでもスラングを勉強する機会はほとんどありません。
スラングを学べる素材はいろいろありますが、お勧めは人気アニメ「SOUTH PARK」です。放送禁止用語もたくさん使われるので、本物のスラング(アメリカ英語)を学ぶ素材として非常に向いています。
子ども向けだと思われがちですが、実は大人を対象にした社会風刺アニメです。アメリカの政治・社会を痛烈に皮肉ったエピソードが話題になることも多いです。
公式サイトでは全エピソードが無料で視聴でき、英語字幕を表示することができます(※たまに字幕とせりふが少し異なる場合があります)。
【ステップ11】海外ドラマや映画を見まくる
定番の学習法ですが、超上級者向けです。
ディズニー映画や子ども向けアニメなどが苦労せずに理解できるようになってから見ることをお勧めします。
最初のうちは、英語字幕や日本語字幕の助けを借りながら見るようにしましょう。
ただし何度も巻き戻したり、わからない単語をいちいち全部調べたりしていると時間がかかりすぎてあまり先へ進まないので、そこまでする必要はありません。ストーリーを楽しむつもりで、気楽にいろんな作品を見てみてください。
【ステップ12】ポッドキャスト(ラジオ)を聞く
英語学習に役立つポッドキャスト(インターネットラジオ)はたくさんあります。映画や海外ドラマと違って、視覚情報がない分さらにレベルが高くなりますが、目に頼らず耳だけでどこでも英語が学べるようになるので、学習効率が上がります。
満員電車の中でも、家事をしながらでも、ランニングなど軽い運動のときも、イヤホンをしながら英語のシャワーを浴びることができます。
ぜひお気に入りのチャンネルを見つけて試してみてくださいね。
【まとめ】リスニングはどんなふうに上達していくか
いかがでしたでしょうか。
ステップ1(NHKゴガク)はいわゆる「語学教材」ですが、それ以降のステップはすべてネイティブ向けの日常素材を活用した学習法になっています。
上記の1~12のステップで「生の英語」のシャワーを浴び続けると、リスニング力はだいたい次のようなパターンをたどって伸びていきます。
1.最初は一字一句全て聞き取ろうとする(精聴)
2.あきらめて、わかるところだけ拾って聞く(多聴)
3.わかるところが少しずつ増えていく
4.適当に聞き流していても、ほとんどわかるようになる
最初はみんな、1語も聞き漏らすまいと、全力で英語に耳を傾けます(精聴)。
でもそれだと、なかなかリスニング力は伸びません。
「精聴」だと時間がかかってしまい、どうしても「量」をこなせないからです。
リスニング力を伸ばすには、「多聴」が必要になってきます。
最大の関門は、上記の1から2へ行けるかどうかです。
重要なポイントは、以下の3つです。
- ざっくり理解する
- 細かいところは捨てる
- たくさん聞く
最初から全部完璧に聞き取るのは無理なので、わかるところだけ拾っていくようにしましょう。
2へ行けたら、あとは自然に耳が慣れて、どんどん英語が聞き取れるようになります。
最初に書いたように、リスニングの上達には年単位の長い時間がかかります。
あせらず、それぞれの素材を楽しみながら、じっくり取り組んでみてくださいね。
Good luck!