急がば回れ!なぜフランス語を学ぶと「1.2倍速」で英語が上達するのか

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macha

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アラフォー翻訳家。英検1級/TOEIC満点/言語学修士。「極力勉強せず、楽しみながら英語力を自然に上げる」がモットー。英語育児(5歳)も実践中です。

本気で英語を身につけたい人に、僕はフランス語の勉強をおすすめしています。
英語の勉強だけでも大変なのに、なぜフランス語も……と思う人も多いと思います。
僕は昔、フランス語を少しかじったおかげで、わりとスムーズに上級レベルの英語力を身につけることができました(後述)。
残念ながら、ネットで検索しても、同じことを書いている人はほとんどいないようです(←見つかなかった)。
こんなに素晴らしい学習法を知らないのはもったいないので、この記事では、英語学習者があえてフランス語を学ぶメリットと理由についてお話します。

machaのフランス語学習歴

偉そうに書いてますが、フランス語は超ド素人です。

  • 大学4年頃、独学で学び始める(大学院入試に必要だったため)
  • 1年後くらいに仏検3級に合格(大学院もどうにか合格…)
  • 数年のブランク…
  • 社会人になってから再び学習開始。アテネフランセ(東京の老舗フランス語語学学校)に1年くらい週1で通って、日常会話の練習
  • ふたたびブランク…(今にいたる)

という感じです。

もっと続けたかったのですが、仕事やプライベートが忙しくなり、やめてしまいました。最後にフランス語を学んだのはもう何年も前のことです。

でも、そんな僕でも、いまだに「フランス語をやってよかった…」と実感しています。
なぜでしょうか?

大昔にとった仏検3級の証明書。まさかネットで公開する日がくるとは…笑

フランス語を全力でおすすめする理由

最初にこれをご覧ください。

フランスの有力紙「Le Monde」のウェブサイトに載っている国際ニュース記事です。
中米ニカラグアのオルテガ大統領が「政治犯を解放する」方針を発表した、というニュースです。

タイトルに注目してください。

【原題(フランス語)】
Nicaragua : le président Ortega propose de libérer des prisonniers politiques

【英語訳】
Nicaragua: President Ortega proposes to liberate (release) political prisoners

驚くほど、そっくりですよね。
あまりにも英語に似ているので、仏検3級どまりのmacha(筆者)でも読めてしまうくらいです(笑)。

macha
英語の知識があれば、フランス語の文章もなんとなく意味がわかる(こともある)んだね!

なぜ英語とフランス語は似ているのか?

話が専門的になりすぎないよう、ざっくり説明します。

  • 英語 → ゲルマン系の言語(ドイツ語・オランダ語・スウェーデン語などと同じ)
  • フランス語 → ラテン系の言語(イタリア語、スペイン語、ポルトガル語など)

英語とフランス語は、もともとまったく別の言語です。

ところが、イギリスが11世紀にフランスに支配(いわゆるノルマン・コンクエスト)されてしまったために、たくさんフランス語が入ってきました。当時の貴族階級の間では、フランス語が公用語だったくらいです。

※ 当時の歴史・言語状況については、こちらのサイトがわかりやすいです。

その結果、現在の英語はフランス語とかなり似た言語になりました。
とくに単語レベルでは「兄弟(姉妹)言語」といってもいいくらいです。

古い調査ですが、現在最もよく使われている英単語1万語のうち、29%がフランス語からきているというデータもあります。


Joseph M. Williams’ research visualized (top 10,000 words). Image by by Murraytheb via Wikipedia Commons

フランス語をやると英語の「語彙力」が倍増する!

macha
日本語に昔、中国語(漢字)がたくさん入ってきたのに似ているね!

フランス語と英語が、とくに単語レベルで似ていることはわかりました。

でもフランス語を知っていても、英語の勉強はかならず必要になります。
だったら、フランス語なんてやらずに、最初から英語だけやればいいじゃん…、って思いますよね。

いやいや、違うんです。

一番のポイントは「語彙」です。

フランス語を少し学ぶと、英語のボキャビルがすごくラクになります。
とくに英語の上級者になればなるほど、その効果を実感するようになります。

その理由を説明します。

英語の「教養語」はもともとフランス語だった

この超ざっくりなグラフをご覧ください。

中世のイギリスの貴族社会にフランス語が大量に入ってきたという話をしました。
つまりフランス語は、基本的に知的で上品で洗練された「教養単語」(※)として、英語の中に取り込まれました。

※ 英語圏では「big words」や「10 dollar words」と呼ばれていて、学校のレポートなどに使うと、先生からの評価が高くなります(笑)。

その結果、大雑把ですが、英語の中でこんな感じの住み分けがされたわけです。

  • 簡単な言葉=昔からの(ゲルマン系の)英語
  • 難しい言葉=新しく入ってきたフランス語

この影響は今でも強く残っています。

英語では、難しい単語になればなるほど、フランス語由来の言葉が多くなります。
とくに1万語超(英検1級レベル)の語彙は、フランス語のオンパレードです。

初級単語と上級単語のどっちを覚えるのが簡単?

ここがミソなのですが、英語に取り入れられたフランス語自体は、必ずしもフランス語の中でもともと難しい単語というわけではありませんでした。

つまり、わかりやすくいうと、こんな図式が成り立ちます。

英語の上級単語≒フランス語の初級単語

フランス語の初級単語が、英語の1万語超の上級単語と同じだったりするわけです。

では、ここで一つ考えてみましょう。
次のAとBでは、どっちが簡単だと思いますか?

A.英語の上級単語(英検1級レベル)を5000語覚える
B.フランス語の初級単語(仏検3~5級レベル)を2000語を覚える

答えは、言うまでもなくBですよね。

英検1級の勉強をしたことがある人はわかると思いますが、上級レベルの単語を暗記するのは死ぬほど大変です。
普通にテキストとかで勉強していたら、数年に一度しか出合わないような単語がゴロゴロあります。

一方、フランス語の初級単語(1000~2000語くらい)なら、とくにボキャビルをしなくても、入門テキストを使って文法中心の学習をしているだけで自然に覚えられます。
初級レベルの単語は、毎日のように出合うからです。

そしてフランス語の初級単語は、意味や姿を少し変えて、英語の上級レベルでもたくさん出てきます。

macha
だったら、頑張って英語の上級単語を覚えるより、フランス語の初級単語を覚えた方が結果的に早い、ってわけね

フランス語をやると英語の上級単語がすぐ覚えられる例

わかりやすい例として、「血」という言葉で説明します。

フランス語 sang
英語 blood

英語の「blood」は中学校で習うような初級単語ですよね。
フランス語の「sang」も同じく超入門単語です。

これを知っていると、英語学習でどう役に立つのか。

次の2つは、1万語超(英検1級)レベルの英単語です。
わかりますでしょうか?

≪英語の上級単語≫
sanguine 陽気な、楽観的な
sanguinary 血生臭い、残忍な

意味は対極的ですが、どちらも「血」に関係した単語です。
血色がよく、快活な、という意味の英単語がsanguineで、
血がマイナスイメージになったのがsanguinary
です。

このレベルの英単語を正面作戦で暗記していくのはかなり大変ですよね。
職業柄、わりと英語をたくさん読んでいるはずのmachaでも、そんなに目にする単語ではありません…。

でもフランス語をやった人なら、「sang(血)」が語源だとすぐにわかるので、わりと簡単に覚えられます。

たとえ意味を正確に思い出せなくても、「血」というイメージをもてれば、文脈から意味を類推したり、意味を思い出したりすることも可能です。
これはかなり大きな違いです。

このように、フランス語がわかると「語源」から英単語を簡単に覚えられるようになります。

macha
次のページでは、フランス語習得に必要な「時間」について考えていくよ