【翻訳屋の本音】ぶっちゃけ「英文科」って行く意味あるの?

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macha

翻訳家(英日)。英検1級/TOEIC満点/言語学修士。「極力勉強せず、楽しみながら英語力を自然に上げる」がモットー。英語育児(8歳)も実践中です。

「英文科へいっても英語ができるようにならない」
「会話クラスが週1回しかない」
「就職で有利になるわけでもない」

…など、最近は大学の英文科に対していろんな批判が聞かれるようになりました。

ぶっちゃけ、英文科っていく価値あるんでしょうか?
そんな疑問をもっている人も少なくないと思います。

そこでこの記事では、なんとなく国際的な雰囲気にひかれて某私大の英文科に進学し、今は翻訳家としてのんきに人生を送っているmacha(筆者)が、改めて、英文科で学んだ経験を振り返ってみたいと思います。

英文科へ行くべきかどうか迷っている人はぜひご参考にしてみてください!

英文科って何を学ぶ場所?

「英文科」の名称

一口に「英文科」といっても、いろいろありますよね。この記事では、下記の専攻をざっくりまとめて「英文科」を呼ぶことにします。大学によってカリキュラムに多少の違いはあっても、教えられている内容はだいたい同じですね。

  • 英文学科
  • 英米文学科
  • 英語学科
  • 英語英文学科
  • 英語英米文化学科
  • 英語コミュニケーション学科

学べること

一般に英文科では、次のような授業が行われています。

学べる科目(例)

  • 英米文学
  • 英語史
  • 英文法
  • 英作文
  • 英会話
  • 音声学
  • 時事英語
  • 英米演劇
  • 異文化コミュニケーション論

ざっくり言うと、言語系、文学系、その他(コミュニケーションなど)の3つに分かれます。

実用か、教養か

英文科は基本的に「ツール」としての英語ではなく、「英文学」や「英語学(言語学)」などを学ぶところです。

ここは勘違いしている人が多いようなので要注意です。

スピーキングやライティングのクラスも多少ありますが、語学学校のように超少人数の英会話のレッスンやTOEICの資格対策はあまり行われていません。

大学はそもそも専門学校や職業訓練学校ではないので、就職に直結するような「スキル」を教えるところではないというのが基本的な考えです。

最近は就職対策としてスキル向上に力を入れる大学も増えていますが、基本はあくまで「学問」をしたり、「研究」したりするところなんですね。

それを知らないと、「英文科に行ったのにぜんぜん英語力が上がらなかった…」なんてことになりかねないので、注意が必要です。

英文科へ行くメリットとデメリット

では実用的な英語が学べないとしたら、大学の英文科へいくメリット&デメリットは何でしょうか?

3つのメリット

1.英語の教員免許を取得できる

英文科はだいたいどこも、英語の教員免許がとりやすいカリキュラムになっています。教職課程をとって、採用試験に合格すれば、英語の先生(中学、高校)への道が開けます。教員志望の方にとっては、英文科専攻は鉄板コースですね。

2.言葉の仕組みがわかるようになる

文法や音声学、さらに英語史など、言葉の成り立ちや発展の過程を学べます。英語を単なる「コミュニケーションのツール」ではなく、「分析・研究の対象」としたい人にとっては、魅力的な授業が多いです。教師として英語を教えるときにも多少役立つ知識が得られます。

3.言葉の裏にある文化・社会背景が学べる

映画(英語)を見たり、洋書を読んだりするのにも、英語圏の文化・社会的知識があるのとないのでは大違いです。たとえば、TIMEやThe Economistなど一流の雑誌・新聞には、シェークスピアやディケンズなどの名文をもじった文章が普通に出てきます。英文学を学ぶと、そういう書き手の遊び心やユーモアのセンスを楽しめるようになります。

3つのデメリット

1.必ずしも英語が話せるようにはならない

授業では、英語を「使う」トレーニングはほとんどありません。言語学的な知識をたくさんつめこんでも、英語力の向上にはあまり役立ちません。それどころか、逆に細かいことなどに気をとられすぎて(委縮して)、話せなくなる可能性があります。英文科の学生ほど「英語コンプレックス」「英語嫌い」が多いといことも言われます。

2.実用的でない英語を大量に読まされる

学問なので、英語を聞いたり、話したりするより、読むことの方が多いです。しかもニュースや海外ドラマなどではなく、昔の文学作品とか、言語学の教科書(論文)だったり、今のネイティブが普段使わないような英語を学びます。勉強にはなりますが、実用的とはいえません。基本的には、英文学などに興味のない人には苦痛かもしれません。

3.まわりから「英語ができる」プレッシャー

世間的には、英文科を出て英語ができなかったら「え?」という目で見られます(コンピュータ科学専攻なのにパソコンのことがわからない人と同じです)。就職活動でも、英文科でない人よりTOEICの点数が低いとマイナス評価になりかねません。会社に入ってからも、英文科卒だと、会議の通訳や文章の翻訳をお願いされたりします。なにかとプレッシャーを受けやすい立場です。

英文科へおすすめの人は?

次の人は英文科へ行っても後悔しないでしょう。

  • 学校の先生(英語教師)になりたい人
  • 英文学や英語学を学びたい人(将来研究者になりたい人)
  • 英語系専門職(通訳・翻訳)につきたい人

この3つのいずれかに当てはまる人には、英文科はよいチョイスです。

補足
ただし、通訳・翻訳の場合、英語以外の専門があった方が有利な場合が多いです。たとえば、英語ができて医学の知識がある人なら、その専門分野の通訳・翻訳者として充分にやっていけるでしょう。

大学時代に学んでおきたい必須の教養

将来、英語関連の仕事(教師、通訳、翻訳)を目指す場合、必須科目の英文学や英語学のほかにいろいろ学んでおきたいことがあります。

下記の記事では、翻訳家の僕から見て学生時代に学んでおくとよい重要な教科をまとめて紹介しています。

あわせて読みたい
「英語のプロ」を目指したい人は、こちらの記事をぜひご覧ください。
「英語のプロ」をガチで目指す人が最初に身につけたい10の教養【おすすめ入門ガイド】

さいごに:英文科で学ぶ意義とは

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

かっこいいことを言わせていただくと、「英文科」は英語屋にとっての「MBA」みたいなものかなと思っています。

MBAは、経営者(ビジネスリーダー)を目指す人にとっての武者修行の場ですよね。

英文科も、英語のプロ(教師、通訳、翻訳)を目指す人にとっての修行の場です。

もちろん、授業で得た知識が、すぐに外国人とのコミュニケーションで役立つことはあまりありません。また英文科を出たからといって、英語関連の職業につけるわけでもないです。

でも洋画を見たり、ペーパーバックを読んだり、ビジネスメールを書いたり、など英語を使うさまざまな場面で、英文科で学んだ知識や経験は活きてくるはずです。

ぜひ英語で食べていきたい、英語の世界にどっぷり漬かりたいという人は英文科の門をたたいてみてくださいね。

Good luck!

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