【受験英語の最高峰】ラッセルの英語が感動するほど難しかった件。

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macha

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翻訳家。大学で英米文学専攻、大学院で言語学修士。英語教育の現場に携わり、現在はおもに翻訳関係の仕事をしています。英検1級、TOEIC満点。
バートランド・ラッセルの英文を読んだことありますか? 格調高く、教養に満ち溢れた文章は、かつて大学受験英語の定番だったそうです(今でも東大など一部の大学で出題されることもあるとか)。コミュニケーション英語全盛の今、ラッセルの英語を読む意味なんてあるのでしょうか。筆者が試してみました。

はじめに

バートランド・ラッセルってだれ?

Bertrand Russell
イギリスの哲学者、数学者(1872~1970年)。1950年にノーベル文学賞を受賞。
膨大な著作群を残し、とくに1930年に書かれた『幸福論(The Conquest of Happiness)』は、なぜか日本で受験問題としてたくさん使われたらしい。

使ったテキスト

たまたま書店で以下の本を手に取ったのが、ラッセルを読もうというきっかけになりました(※ラッセルを原書で読んだわけではありません)。

ラッセルと20世紀の名文に学ぶ英文味読の真相39
佐藤 ヒロシ

(写真をクリックするとamazonのサイトへ飛びます)

この本、amazonでの評価はまだ少ないですが、かなりいいです。

全部で39本の英語長文が掲載されていて(1本の長さは半ページくらい)
・16本がラッセルの『幸福論』から
・14本がラッセルのほかの本から
・9本は、モームなどほかの作家の作品から
となっています。

それぞれの文章については、佐藤先生が「精読」スタイルで、複雑な文章の構造や内容をじっくり、わかりやすく解説してくれてます。

欠点としては、
・どうせなら全部ラッセルの文章で統一してほしかった
・音声をつけてほしかった
くらいでしょうか。

なお佐藤先生は代々木ゼミナールの講師として活躍されているそうで、ほかにも『実は知らない英文法の真相75』や『実は知らない英文誤読の真相88』など、ハイレベルな本をいくつも出されています。
難解な英文解釈の指導を得意とされている先生のようですね。

とりあえずやってみた

英語のレベル

読んでみて感動しました!
冗談かと思うほどレベルが高いです…。
今では、こういう難解な英語を書くネイティブはいません。
「TIME」や「NEWSWEEK」よりもはるかに難しいです。
しかも、こんな文章をかつて大学受験で出していたなんて…。
日本の受験競争というのはすごかったのですね。

ラッセルの文体

とても特徴的な文体です。
どの文章も、
・堅苦しい
・説明がまわりくどい
・一文が長くて複雑
なスタイルで書かれています。

受験英語でラッセルが愛用されたのは、たぶん、文章構造があまりに複雑でその理解を問う問題を作りやすかったから、だと思われます。
1文が5行以上続く文章がザラにあります。
どの節がどの単語にかかっているのか、この代名詞は何を指しているか…、など途中でわからなくなるような「悪文」(とあえていわせていただきます)のオンパレードです。

いまの時代はビジネスにかぎらず、シンプルでわかりやすい文章こそが「よい英語」とされているので、こんな一文が長ったらしくて、くどくて、しかも気取った英語を書いたら、たぶん、ネイティブから思いっきり訂正されると思います(文法的には正しくとも)。
いかにもかつてのイギリスの知識階級の人が書いていた英語という感じです。

例文

学習メモもかねて、本書に載っている文法解説用の例文をいくつか紹介します。
(※本文ではなく例文なので、ラッセルの書いた英語ではありませんが、こんな感じの英語がたくさん出てきます)

↓これが全部わかる人なら、今さらラッセルを読む必要はないと思います。

You should read such books as will benefit you.
自分に役立つ本を読むべきだ。
(asは主格の関係代名詞の役割を果たしている)

I can no more swim than a hammer can.
僕は金づちだ(僕は金づち同様、泳げない)。

The fog blotted out all but the nearest houses.
その霧のせいで、近くの家以外すべてが視界から消えてしまった。

His achievement is all but forgotten.
彼の業績は忘れられたも同然だ。

Reading is to the mind what food is to the body.
読書と精神の関係は、食物と肉体の関係と同じである。

Tired as she was, she walked to the station.
疲れてはいたが、彼女は駅まで歩いた。

Good use should be made of his knowledge and experience.
彼の知識と経験を十分に活用すべきだ。

His honesty was such that everybody loved him.
彼は正直なために皆に好かれていた。

There is nobody but wishes to succeed.
成功を望まない者など誰もいない(皆が成功を望んでいる)。

ラッセルを味読してみた結果

上記の本を2回通して読んでみました。

掲載されている英語の文章は1本が半ページくらいなので、(日本語をのぞいて)英語の文章だけを全部足しても、計20ページくらいです。
ペーパーバック1冊に遠く及びませんが、これだけレベルの高い英語を20ページも精読したら、さすがにこの独特の文章スタイルに少しは慣れました。

TOEICやビジネスではほとんど役に立ちませんが、英語の底力をつけるための「筋トレ」として意味があるのかなと思います。
たとえば昔のイギリスの小説とかを読むときに、ちょっとは活きてくるのかもしれません。

まとめ

・ラッセルの英語は絶滅危惧種級に難しい
・難解な英文を読み解く力をつけたい上級者には「筋トレ」としておススメ
・ただしTOEICやビジネス英語には役に立たない

ぜひ興味をもった方は、挑戦してみてください!