ヘミングウェイを英語で読みたくなったら最初に手に取るべき1冊

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macha

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翻訳家。大学で英米文学専攻、大学院で言語学修士。英語教育の現場に携わり、現在はおもに翻訳関係の仕事をしています。英検1級、TOEIC満点。
ヘミングウェイを一度は原書で読んでみたい――。そう考えて、『老人と海』(The Old Man and the Sea)を手にとる人は少なくありません。でも、ほぼ確実に挫折します! 『老人と海』は読みやすそうに見えて、英語のレベルが結構高いので、入門者には向かないからです。ではいったいどの作品から読み始めるのがよいのでしょうか。

ヘミングウェイならこの本!

結論からいうと、この本を全力でおススメします。
ちょっと古いのが難点ですが、内容は素晴らしいの一言です。

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筆者はこの本を手にしたとき、「学生時代にこの本と巡り合っておきたかった!」と不運を呪いました。
ものすごく読みやすいので、きっと英語力がぐんぐん伸びていたと思います。
あのひたすら辞書を引いていた日々はなんだったのか…。

この本のどこが素晴らしいのか、説明していきましょう。

この本の特徴

この本には、ヘミングウェイの代表的な短編6作が載っています。

英語の難易度で勝手にレベル分けすると、次のような感じになるかと。

<初級>

・A Clean, Well-Lighted Place
・Indian Camp
・Cat in the Rain

これら3本の作品は、英語でたった5ページくらいしかない「超」短編です。
だから、ペーパーバック入門者でもすごく読みやすいです。

<中級>

・The Killers
それほど長い作品ではありませんが(14ページくらい)、少しスラングが出てきます。

<上級>

・The Undefeated
・The Short Happy Life of Francis Macomber

上級の2作は、それぞれヘミングウェイの大好きな「闘牛」と「狩猟」がテーマの作品です。
とくに「The Undfeated」は闘牛のルールや用語を知らないと読めません。
長さはどちらも40~50ページくらいとやはり短い小説ですが、英語の難易度としては、「The Old Man and the Sea(老人と海)」に近いです。

まずはこういう短編小説から読み始めて、ヘミングウェイの英語のスタイルに慣れておくと、中編小説、長編小説へと無理なくステップアップすることができますよ。

おすすめポイント

対訳である

左ページに英語、右ページに対応する日本語が載っていて、構成がシンプルでわかりやすい。意味がわからない英文があれば、すぐ右ページをチェックすればいいだけなので、ぐいぐい読めます。

収録しているストーリーが秀逸

ヘミングウェイの代表作でありながら、入門者でも読みやすい短編がピックアップされています。どの作品も奥深く、ヘミングウェイのいろんなスタイルが味わえます。

語句の解説が絶妙

調べても簡単にはわかりそうにない単語や表現が、短いながらも各ページできちんと解説されています。逆に言えば、ここに載っていなくてわからない単語は覚えておいた方がよいということでしょう。

おすすめの学習の仕方

対訳を読んだら、それで終わりにしないで、以下の3つの関連学習をおススメします。

1.オーディオブックを聴く

せっかく小説を読んだなら、耳からも聴いて、リスニング力をつけちゃいましょう。
内容は頭に入っているので、比較的簡単(?)に聴けると思います!

以下の3作品については、YouTubeで音声朗読ファイルが入手可能です。

The Killers


ナレーターはアマチュアの方のようで、かなり早口かつスラング混じりなので、聞き取りの難易度が高いです。

A Clean, Well-Lighted Place


男性の声がクリアかつ標準的な発音で、聞き取りやすいです。

Indian Camp


味わいのあるおじいちゃんのナレーションです。

2.英語の解説ガイドを読む

この本に収録されている6本の短編小説は、いずれも有名な作品なので、ネットを探せばスタディーガイドが簡単に見つかります。
文学作品はいろんな仕掛けがしてあって、単純に見えるストーリーでも、別の意味が隠されていたり、作者のメッセージが込められていたり、といろいろ奥深かったりします。
なので、プロの批評家が書いたスタディーガイドを合わせて読むことで理解度がアップし、社会・文化背景なども学べるので、おススメします。
有名なところでは「CliffNotes」と「SparkNotes」というサイトで、いくつかの作品の解説が出ています。

3.ネット上の動画解説を聴く

いろんな人がヘミングウェイの作品を英語で解説していたりします。
おススメは、「SixMinuteScholar」という動画チャンネル。
児童文学の作家で、アメリカの大学で英文学を教えているRebecca Balcarcelさんが、作品の読み解きポイントを約6分間でわかりやすく解説してくれています。

A Clean, Well-Lighted Placeの解説動画

続編もあります

好評だったようで(刷数がすごい数字になっている…)、『対訳ヘミングウェイ2』も出ています。
こちらは、『老人と海』だけを収録しています。

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『対訳~1』を完読した人なら、スムーズに『老人と海』へとステップアップできるのではないでしょうか。

まとめ

・ヘミングウェイの『老人と海』から読もうとすると、挫折する可能性が高い
・まずは入門者でも比較的読みやすい「短編小説」からチャレンジする
・対訳書とあわせて、オーディオブック、動画などを活用するとよい

ペーパーバックで文学作品を読みたい英語上級者には、本当におススメの本です。こんな愚直な英語テキストを出した、勇気ある出版社(南雲堂)さんに感謝です!