【短編の名手】オー・ヘンリーの小説を英語で読んでみたよ!

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macha

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英語学習アドバイザー。大学で英米文学専攻、大学院で言語学修士。英語教育の現場に携わり、現在は翻訳関係の仕事をしています。英検1級、TOEIC満点。
あいかわらず「無駄」の多い勉強を続けているmachaです。

しばらく前にヘミングウェイの短編小説を英語で読んだので、今回は同じアメリカの作家つながりで、オー・ヘンリー(O Henry、1862~1910年)を読んでみました。

人気の高い作家だし、名前を聞いたことのある作品もあるので、きっと英語も読みやすいだろうな~と思って手を出してみました。

ところが、ぜんぜんそんなことなかったのです…。

はじめに

オー・ヘンリーってどんな作家?

Wikipediaなどによると、

・本名はウィリアム・シドニー・ポーター(William Sydney Porter)
・47歳で亡くなるまで381編の作品を残した
・「短編の名手」と呼ばれ、欧米では客室のベッドサイドに置いておく定番の本になっているらしい
・庶民的で情緒的な作風が特徴で、大人から子供まで愛されている

今回使った学習用テキスト

いきなりペーパーバックを読むのは大変かもしれないので、前回のヘミングウェイのときと同じく、南雲堂さんから出ている「英和対訳現代作家シリーズ」にお世話になりました。

このシリーズ、文学作品を使って英語を学びたい人にはとてもおススメですよ!

『対訳オー・ヘンリー』

(写真をクリックするとamazonのサイトへ飛びます)

左ページに英語の原文、右ページに日本語訳が載っているというシンプル極まりない構成が読みやすいです。
(※ただし日本語版の初版は1957年と古く、古臭い日本語がたくさん使われているので、そういう意味では読みにくいかもです)

さっそくリーディング開始!

読んだストーリー

時間があれば全部読みたいところですが、仕事の繁忙期で時間がとれなかったこともあり、とりあえずページ数の少ない順に、次の4つの作品を読みました

初めて読む作家の場合、ページ数の少ない作品から読むのが王道の学習法です。

せっかく1カ月くらいかけて4作品をじっくり読んだ(&聴いた)ので、勝手に英語の難易度と作品の面白さで評価してみます。

※あくまでオー・ヘンリーの作品の中での基準です。

After Twenty Years(二十年後)

英語の難易度:★★★☆☆
面白さ:★★★★☆
ページ数:5ページ
オー・ヘンリーの作品にしては、英語が比較的簡単で、ページ数も少ないので、最初に読むならこちらがおすすめ。ストーリーもオー・ヘンリーらしい、あっと驚く展開で楽しませてくれます。

The Gift of the Magi(賢者の贈り物)

英語の難易度:★★★★☆
面白さ:★★★★★
ページ数:8ページ
一部の教科書にも載っているくらい有名な作品らしいんですが、残念ながら筆者は覚えておらず。難しい英語表現も出てきますが、とにかくストーリーの展開がわかりやすく面白いので、最後まで読めます。

The Last Leaf(最後の一葉)

英語の難易度:★★★★☆
面白さ:★★★★★
ページ数:10ページ
こちらもオー・ヘンリーの有名な短編小説。最後にしっかりとしたオチがあって、やはり面白いです。英語のレベルは少し上がって、手ごたえがある感じに。

The Pendulum(習性)

英語の難易度:★★★★★
面白さ:★★★☆☆
ページ数:8ページ
英語がかなり難しく(とくに最初の方)、読んでいて眠くなるレベル。最後のオチは今一つ理解できないという読者もいるようで…。

…って、こう見たら、ほんとに短い作品しか読んでないですね。でもこれだけでも、オー・ヘンリー節はしっかり味わえたように思います!

どんな方法で勉強したか

今回はシンプルに、

・原書
・日本語訳
・オーディオブック

の3点セットで学習しました。

※原書と日本語訳は、さきほど紹介した『対訳オー・ヘンリー』1冊でカバーしました。

まず左ページの英語(原文)を読んで、意味がわからないところがあれば、右ページの対訳をチェックして、読み終えたあとにYouTubeで朗読の音源を探して、それをなんども聴き込んだという感じです。

いずれの作品もYouTubeで結構クオリティの高いナレーションが見つかります。
筆者は「耳学問」派なので、オーディオブックがあるのはうれしいですね。

原文を読んだのは2回ですが、朗読の音声は10回以上聴き込んだと思います。

筆者が勝手に考案・実践しているペーパーバック学習法「PTAMS」では、このほかに「映画」と「スタディーガイド」を利用することをおススメしています。

オー・ヘンリーは、有名な作品が多いので、映画化もたくさんされているようですね。ちらっとYouTubeで検索すると、いろいろ出てきます。

スタディーガイドは残念ながらきちんとしたものがほとんどないようです。オー・ヘンリーの作品は一般向けの大衆娯楽であって、あまり教育・研究対象としてみなされていないのかもしれませんね。

英語学習の効果は?

オー・ヘンリーの英語は「超上級者」向け

欧米では老若男女に親しまれている大作家ということで、きっと使われている英語も簡単なんだろうな、ネイティブの小学生でも読めるかな…と思っていましたが、ぜんぜんそんなことはなかったです。

ヘミングウェイよりはるかに難しかったです!

<難しい理由>

・全体的に単語やイディオムのレベルが高い(100年以上前に書かれているので、今は使われていない表現もあるかも)
・わかりにくい比喩表現が多い
・聖書や神話に出てくる名前がさりげなく登場するので、日本人の読者的にはちょっとつらい

苦労すれば、難関大の受験生でも読めるかもしれませんが(日本語の対訳もあるので)、あまりおススメしません。

少なくとも、TOEIC900点以上、英検1級程度の英語力がないと、オー・ヘンリーを読むのは辛いと思います。

作品を読んでみた感想

これだけ英語が難しいと、途中で投げ出したくなりますが、それでも4作品を最後まで読め切れたのは、

ストーリーが面白い

という理由の一言に尽きると思います。

小説なので好みの問題もあるでしょうけど、オー・ヘンリーは「短編の名手」といわれるだけあって、ストーリーの面白さ自体は期待を裏切りません。

このへん、好みがはっきり分かれるほかの文豪(=ヘミングウェイなど)とは違うところです。

オー・ヘンリーの作品は、全体のストーリーラインがわかりやすく、最後にきちんとしたオチがあって、楽しませてくれます。また登場人物にはやさしいまなざしが向けられていて、どれも人に勧めたくなるようなほっこりするような小説です。

個人的にはとても好きですね。でも英語で読むのは、(TOEIC満点ブロガーの筆者も)なかなか難しかったです…。

どれくらい英語が上達したか?

今回読んだのは4つの作品を全部足しても30ページ程度と大した量ではないので、それで英語力がぐんと伸びたということは、当然ありません。

ただ、この30ページの英語は、とても濃密でした。

これだけレベルの高い単語、イディオム、文学的表現がぎっしりつまった英語の文章は、ほかではなかなか読めません。英字新聞の記事を300本読んでも、絶対に巡り合えないような表現が満載です。

それをわずか30ページで体験できるのだから、学習効率はかなり高いといえます。

最初に原文だけを読んだときは、意味がチンプンカンプンのセンテンスが多かったのですが、対訳のおかけで、今では同じ文章がスラスラ読めるようになりました。

上級者になればなるほど、未知の単語やイディオムに遭遇する確率はどんどん減っていくので、こういうちょっと古い文学作品は、とても勉強になりますね。

まとめ

というわけで、強引にまとめると

・オー・ヘンリーの英語はヘミングウェイよりもはるかに難しい
・でもレベルの高い英語を集中的に学べるので、学習効率は高い
・作品自体も楽しめる

でした!

今回は4作品しか読めていないので、もう少し英語力がレベルアップしたら、またオー・ヘンリーの世界に戻ってきたいと思います!

お世話になったテキスト

あらためて、今回お世話になったテキストをご紹介します。

対訳オー・ヘンリー (現代作家シリーズ)

(写真をクリックするとamazonのサイトへ飛びます)

この「現代作家シリーズ」は、英語と日本語の対訳だけでなく、各見開きページに、重要単語の解説もついているので、ペーパーバックを自力で辞書を引きながら勉強するよりも、学習効率が30倍くらい高いです(筆者の主観)。個人的にとてもおススメなシリーズです。
※唯一の欠点は、日本語が古くてやや読みにくいところです。

英語で読むオー・ヘンリー傑作短編集 The Best Short Stories of O. Henry【日英対訳】

(写真をクリックするとamazonのサイトへ飛びます)

オー・ヘンリーの対訳本では、「IBC対訳ライブラリー」シリーズからもCD付きで出ています。こちらの方が発行は2013年とはるかに新しいですが、残念ながら学習者向けに「簡単な英語」に書き換えられているようです。英検2級~準1級レベルの学習者なら、こちらの簡単バージョンで勉強する方がよいかもしれませんね。